相続発生後にやること——期限別手続き完全ガイド

ご家族が亡くなった後は、悲しみの中でも多くの手続きをこなさなければなりません。相続手続きには法律で定められた期限があるものから、期限はないものの早めに対応すべきものまで、さまざまな手続きが発生します。

この記事では、相続発生後にやるべき手続きを期限ごとに整理します。「何を・いつまでに・どこで行うのか」を把握しておくだけで、いざという時の対応が大きく変わります。

■ 7日以内の手続き

死亡届の提出(市区町村役場)

亡くなってから7日以内に、市区町村役場に死亡届を提出する必要があります。死亡届は死亡診断書と同じ用紙になっており、医師から受け取った死亡診断書の左半分が死亡届です。提出先は、故人の本籍地・死亡地・届出人の住所地のいずれかの市区町村役場です。死亡届が受理されると、火葬許可証が交付されます。

この段階で、死亡診断書のコピーを10枚以上取っておくことをおすすめします。その後の銀行・保険・年金などの各種手続きで死亡の事実を証明する書類が必要になるケースが多く、コピーがあると手続きがスムーズに進みます。

■ 14日以内の手続き

年金受給停止・未支給年金の請求(年金事務所・市区町村役場)

故人がマイナンバーを年金機構に登録していた場合、年金受給停止届の提出は原則不要です。ただし、亡くなった月までの未支給年金の請求手続きは別途必要になります。未支給年金は相続財産ではなく、請求できる遺族が限られているため、早めに確認することをおすすめします。

健康保険・介護保険の資格喪失届(市区町村役場・勤務先)

国民健康保険・後期高齢者医療保険の場合は市区町村役場へ、会社の健康保険の場合は勤務先または健康保険組合へ届け出ます。介護保険証の返却も必要です。

世帯主変更届(市区町村役場)

故人が世帯主だった場合、新たな世帯主を届け出る必要があります。ただし、世帯員が1人だけになる場合や、15歳未満の子のみが残る場合などは届出不要なケースもあります。

■ 2ヶ月以内の手続き

遺言書の検認(家庭裁判所)

※法律上の厳密な期限はありませんが、後の相続放棄・相続税申告などの手続きに響くため、速やかな対応が必要です。

自筆証書遺言が見つかった場合、開封せずに家庭裁判所で「検認」を受ける必要があります。検認は遺言書の存在と内容を確認する手続きで、検認を受けずに開封すると5万円以下の過料の対象になることがあります。

なお、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用して保管されている遺言書と、公正証書遺言は検認不要です。

■ 3ヶ月以内の手続き

相続放棄・限定承認(家庭裁判所)

相続放棄・限定承認は、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。

相続放棄をすると、最初から相続人ではなかったものとみなされます。故人に多額の借金がある場合などに選択されます。限定承認はプラスの財産の範囲内でのみ借金を引き継ぐ手続きで、相続人全員で共同して行う必要があります。

3ヶ月以内に手続きをしなかった場合、「単純承認」したものとみなされ、プラスの財産もマイナスの財産(借金)も全て引き継ぐことになります。

■ 4ヶ月以内の手続き

準確定申告(税務署)

故人が生前に所得を得ていた場合、相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に、故人の所得税の確定申告(準確定申告)を行う必要があります。提出先は故人の住所地を所轄する税務署です。

準確定申告が必要になる主なケースは以下のとおりです。

  • 給与収入が2,000万円を超えていた
  • 給与以外の所得(不動産収入・年金・事業所得など)が20万円を超えていた
  • 2ヶ所以上から給与を受けていた
  • 医療費控除などで還付申告が必要な場合

会社員で一ヶ所のみから給与を受け取っていた場合など、条件によっては不要なケースもあります。

■ 10ヶ月以内の手続き(最重要)

相続税の申告・納税(税務署)

相続税の申告・納税は、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。提出先は故人の住所地を所轄する税務署です(相続人の住所地の税務署ではありません)。

遺産の総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合に申告・納税が必要です。また、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使って税額がゼロになる場合でも、申告自体は必要になります。

遺産分割協議書の作成・名義変更

相続税の申告と同じく10ヶ月以内を目安に、遺産分割協議書の作成と各財産の名義変更を進めましょう。預貯金の解約・名義変更、株式・証券の手続きなどが含まれます。遺産分割協議がまとまらない場合でも、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておくことで、後日特例を適用することが可能です。

■ 2年・5年以内の手続き

葬祭費・埋葬料の請求(2年以内)

故人が国民健康保険に加入していた場合は葬祭費(市区町村により金額は異なります)、会社の健康保険に加入していた場合は埋葬料(5万円)が支給されます。請求先は市区町村役場または加入していた健康保険組合で、申請期限は2年以内です。忘れがちな手続きのひとつですので、早めに確認しておきましょう。

遺族年金・未支給年金の請求(5年以内)

故人が年金受給者だった場合、亡くなった月までの未支給年金を請求できます。また、故人が一定の要件を満たす場合、配偶者や子などが遺族年金を受け取れる場合があります。請求先は年金事務所または市区町村役場です。

■ 3年以内の手続き

相続登記(法務局)

不動産を相続した場合、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記(不動産の名義変更)を行う必要があります。提出先は不動産の所在地を管轄する法務局です。

2024年4月1日から相続登記が義務化されました。2024年4月より前に発生した相続についても義務化の対象となっており、最も古いものでも2027年3月31日が期限となっています。正当な理由なく期限内に手続きをしなかった場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

なお、3年以内に遺産分割がまとまらない場合でも、「相続人申告登記」という簡易的な手続きで申請義務を一時的に果たすことができます。

■ 期限なし・早めに対応すべき手続き

以下の手続きには法律上の期限はありませんが、早めに対応することで後の手続きがスムーズになります。

戸籍収集・相続人調査

相続手続きのほぼすべてで戸籍謄本が必要になります。故人の出生から死亡までの戸籍を取得し、法定相続人を確定させることが最初のステップになります。

財産調査

預貯金・不動産・株式・生命保険・借金など、故人の財産全体を把握します。財産調査は遺産分割協議や相続税申告の前提になるため、早めに着手することをおすすめします。

銀行口座の解約・名義変更

金融機関に死亡の事実が伝わると口座が凍結されます。遺産分割協議書と相続人全員の書類をそろえて手続きを行います。

公共料金・各種契約の解約・名義変更

電気・ガス・水道・NHK・携帯電話・インターネットなどの契約変更または解約手続きを行います。

■ まとめ

相続手続きは、期限との戦いでもあります。特に「3ヶ月以内の相続放棄」と「10ヶ月以内の相続税申告」は、期限を過ぎると取り返しのつかない事態になりかねないため、早めに動き出すことが重要です。

一方で、葬祭費の請求や遺族年金など、忘れがちだが受け取れる給付金も多くあります。まずは全体像を把握し、期限のある手続きから優先して進めることが大切です。

当事務所では、相続税の申告・相談はもちろん、相続発生後の手続き全般についてもご相談を承っております。「何から手をつければいいか分からない」という段階からでも、お気軽にご連絡ください。

宇部市・山陽小野田市・山口市を中心に、相続に関するご相談を承っております。

※本記事の内容は、2026年7月時点の法令・制度に基づいて作成しております。今後の法改正等により、取り扱いが異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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