― 申告は「提出して終わり」ではありません ―
確定申告は、書類を提出すれば完了というものではありません。
実務の現場では、
提出後に誤りが判明し、追加納税や修正申告が必要になるケースも少なくありません。
今回は、確定申告後に後悔しやすい代表的な3つのケースを整理します。
①期限後申告になった場合
確定申告の期限は、原則として3月15日です。
1日でも過ぎると「期限後申告」となります。
■ 想定される影響
無申告加算税
延滞税(納付まで日割計算)
青色申告特別控除65万円の不適用(原則)
純損失の繰越控除の制限
各種特例の適用制限
特に青色65万円控除は、期限内申告が要件です。
期限後となると、原則として10万円控除に減額されます。
また、e-Taxの送信エラーや納付遅延など、
「提出したつもり」が実務上は完了していないケースもあります。
申告書の送信結果や納付状況まで確認して初めて“完了”です。
▶ 元国税調査官の視点
期限内かどうかは客観的事実で判断されます。
事情説明で取扱いが変わるものではありません。
期限管理は最も基本的かつ重要なリスク管理です。
②自主修正と調査後の修正の違い
提出後に誤りに気づいた場合、
自主的に修正申告を行う
税務調査で指摘を受けた後に修正申告を行う
では、その後の取扱いが異なります。
■ 自主的な修正申告
延滞税の増加を抑えられる
過少申告加算税が軽減される場合がある
誤りを早期に是正できる
誤りに気づいた段階で修正すれば、
負担は最小限に抑えられます。
■ 調査後の修正申告
税務調査で誤りを指摘された後に修正申告を行う場合、
過少申告加算税
延滞税
仮装・隠ぺいと判断された場合の重加算税
が問題となります。
実務では、まず修正申告を勧奨されるのが通常です。
応じない場合に更正処分が行われます。
■ 近年の実務環境
現在は、
支払調書
インボイス情報
電子申告データ
各種第三者情報
などがシステム上で突合されています。
さらに、データ分析やAIの活用により、
前年との異常値や不自然な増減は効率的に抽出される環境になっています。
金額の大小ではなく、
数字の整合性や説明可能性が重視されます。
▶ 元国税調査官の視点
調査は偶然ではなく、データに基づいて論点が整理されます。
誤りは起こり得ますが、指摘前に是正できるかどうかで結果は変わります。
③消費税の制度誤認
インボイス制度開始以降、
消費税に関する誤認は増えています。
特に多いのが、2割特例の適用誤りです。
■ 実際にあったケース(概要)
インボイス登録を行ったことで
「2割特例が使える」と考え、適用して申告。
しかし、基準期間や届出状況を確認すると
適用要件を満たしていなかったため、修正申告となりました。
消費税は金額が大きくなりやすく、
制度選択の誤りは資金繰りに直結します。
■ なぜ誤認が起きるのか
登録=特例適用可能という思い込み
基準期間(通常2年前)の確認不足
課税事業者選択届出の影響を見落とし
簡易課税との比較未実施
2割特例は自動適用ではありません。
複数の要件を確認したうえで判断する必要があります。
▶ 元国税調査官の視点
消費税は「計算」より「制度選択」で差が出ます。
“知らなかった”では済まない税目です。
まとめ
確定申告は、
期限を守る
数字の整合性を保つ
制度を正しく理解する
この3点が重要です。
提出はゴールではなく、
その後のリスク管理まで含めて初めて完結します。
税金は「いくら払うか」よりも
「どう管理するか」で将来が変わります。
当事務所では、申告書の作成だけでなく、
提出後のリスクまで見据えた整理・ご提案を行っております。
宇部市・山陽小野田市・山口市で
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